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|買取再販住宅の住宅ローン控除は最長「13年」——省エネ改修で通常の中古より有利にする控除要件と増改築等工事証明書

買取再販住宅の住宅ローン控除は最長「13年」——省エネ改修で通常の中古より有利にする控除要件と増改築等工事証明書

藤田 遼(株式会社WIG 代表/宅地建物取引士)公開 2026-06-01更新 2026-10-11一次情報にもとづく実務解説
買取再販住宅は、省エネ性能を満たせば買主の住宅ローン控除が新築等と同じ最長13年(通常の中古は10年)。対象の工事費要件・耐震基準・増改築等工事証明書と、再販の出口を強くする実務を国税庁・国交省の一次情報で整理します。
目次

買取再販の「出口(再販)」を強くする武器のひとつが、買主が使える住宅ローン控除です。同じ中古でも、要件を満たす「買取再販住宅」は、住宅ローン控除が新築等と同じ最長13年になり、通常の中古(原則10年)より有利になります。

これを知らないと、二重の機会損失が起きます。買主にとっての"お得さ"を訴求できないうえに、控除を使える物件に仕上げる改修設計(工事費の組み方・証明書の手配)を外してしまうからです。

事業者が押さえるべき「買取再販住宅の住宅ローン控除」を、一次情報で整理します。

結論を先に: 宅建業者が一定の改修をして取得から2年以内に個人へ販売した中古住宅(=買取再販住宅)は、買主の住宅ローン控除で「新築等」と同じ区分として扱われます。省エネ性能のある住宅(認定長期優良・低炭素/ZEH水準/省エネ基準)なら、控除期間が最長13年(令和6・7年の居住開始の場合)になり、通常の中古(原則10年)より最大3年分、買主の減税が長く続きます。さらに省エネ性能が高いほど借入限度額も大きいため、改修の方向で"売りやすさ"が変わります。※非省エネの「その他の住宅」は、令和6・7年の居住開始だと控除期間は10年(この年は通常の中古と同じ)です。

ただし、工事費の要件・耐震基準・床面積・買主の所得などの細かな要件があり、金額や適用期限は改正で変わる時限的な制度です。最新は必ず国税庁・国土交通省の一次情報と、税理士・税務署で確認してください。本記事は制度の全体像をやさしく掴むための概要です。


そもそも「買取再販住宅」とは——住宅ローン控除での定義

住宅ローン控除における「買取再販住宅」は、ざっくり言うと「宅建業者がリフォームして、仕入れから2年以内に個人へ売った中古住宅」です。国税庁の定義では、おおむね次を満たす既存住宅とされています。

  • 宅地建物取引業者が、特定の増改築等をした既存住宅であること
  • 買主(個人)が取得する前2年以内に、その宅建業者が取得したものであること
  • 取得の時点で、新築された日から10年を経過した既存住宅であること
  • 耐震基準に適合するものとして証明等がされていること

ポイントは、「中古を買っただけ」では13年にならないことです。事業者が一定の改修を行い、2年以内に再販するという買取再販の事業形態だからこそ、買主が新築等と同じ控除枠を使えます。

つまり「出口を強くできるかどうか」は、事業者の改修の設計と販売スピードにかかっています。


どんな改修なら対象か——工事費の要件(例示)

「特定の増改築等」には、工事の種類と費用の要件があります。代表的な目安は次のとおりです(国税庁・国土交通省の資料より。詳細な区分・金額は一次情報で確認してください)。

  • 工事費の総額が、売買価額(税込)の20%以上(その額が300万円を超える場合は300万円以上)であること
  • または、耐震・バリアフリー・省エネなどの特定の工事が、それぞれ定められた金額(例:50万円超や100万円超)を満たすこと
  • 対象工事は、第1号〜第6号といった工事区分で定められています(増築・改築・一定の修繕/模様替え、耐震、バリアフリー、省エネ 等)

実務では、「どうせやる原状回復・バリューアップ工事を、控除要件を満たす形に設計する」のがコツです。工事費の積み方はリフォーム原価の積み方も参考になります。

注意:ここで言う金額要件は、買主の控除(所得税)の話です。事業者側の登録免許税0.1%・不動産取得税の減額(流通税)は別制度で、要件も異なります。流通税は税制特例で詳しく扱っています。


買主の控除の中身——13年・控除率0.7%・限度額(令和6・7年の居住開始/例示)

買取再販住宅を、令和6年・令和7年に居住開始した場合の控除は、おおむね次のとおりです(控除率0.7%。控除期間も限度額も、住宅の省エネ性能で変わります)。

住宅の区分 年あたりの控除限度額(基本) 特例対象個人の場合
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 31.5万円 35万円
ZEH水準省エネ住宅 24.5万円 31.5万円
省エネ基準適合住宅 21万円 28万円
その他の住宅(上記以外) 14万円 (上乗せなし)

※上表は例示で、居住を開始した年などで変わります。「控除限度額」は(借入金年末残高の上限)×0.7%で、たとえば「その他の住宅」は年末残高2,000万円×0.7%=14万円が上限、という関係です。
※控除期間は、認定長期優良・低炭素/ZEH水準/省エネ基準の各区分は13年、非省エネの「その他の住宅」は令和6・7年の居住開始で10年です(令和4・5年の居住開始なら、その他の住宅も13年でした)。
※特例対象個人とは、おおむね年齢40歳未満で配偶者がいる方、または19歳未満の扶養親族がいる方など(いわゆる子育て世帯・若者夫婦世帯)を指します。

ここで効いてくるのが省エネ性能です。その他の住宅(非省エネ)は限度額が小さく、省エネ基準・ZEH・認定住宅になるほど枠が大きくなります。省エネ性能ラベルや補助金を絡めた改修は、買主の減税額も押し上げます。


通常の中古と、どれだけ違うのか

「買取再販住宅」と「通常の中古(宅建業者の改修再販でない既存住宅)」を並べると、違いがはっきりします。

買取再販住宅 通常の中古(既存住宅)
控除期間(省エネ性能あり) 13年 原則10年
控除期間(その他=非省エネ) 10年 10年
借入限度額(省エネ性能あり) 省エネ3,000万〜認定5,000万円など大きい枠 認定住宅等3,000万円/その他2,000万円
借入限度額(その他の住宅) 2,000万円 2,000万円

※金額・年数は居住開始年で変わります(例示。令和6・7年の居住開始を想定)。

差が出るのは省エネ性能のある住宅です。たとえば省エネ基準適合住宅なら、控除期間が10年→13年に延びる分、年の控除限度額21万円×3年=最大約63万円、買主が減税を長く享受できる計算になります(いずれも例示・年末残高等で変動)。さらに省エネ性能が高いほど借入限度額も大きく、減税総額の差は広がります。一方、非省エネの「その他の住宅」は令和6・7年の居住開始では10年で、この年は通常の中古と同じです。つまり、チラシ(マイソク)や販売時に"この物件は住宅ローン控除が13年使えます"と言えるのは、省エネ性能を満たした物件に仕上げたときです。


耐震基準の要件——築古でも「証明」で道が開ける

既存住宅の住宅ローン控除では、新耐震基準への適合が前提になります。目安は次のとおりです。

  • 昭和57年1月1日以後に建築された家屋:登記事項証明書で確認でき、原則そのまま要件を満たします
  • 昭和56年12月31日以前の建築:次のいずれかの書類で「適合」を示せば対象になり得ます
  • 耐震基準適合証明書(取得前2年以内の証明)
  • 建設住宅性能評価書(耐震等級1・2・3)
  • 既存住宅売買瑕疵担保責任保険の付保証明書

築古物件でも、耐震の裏づけを取れば出口でローンが付くという考え方は、耐震基準適合証明(旧耐震・築古物件のローン付け)や瑕疵保険(インスペクションと保険)の実務とセットで押さえておきたいところです。

このほか、床面積(登記簿上おおむね50㎡以上。買主の合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡以上でも対象になり得ます)や買主の合計所得金額(2,000万円以下)などの要件もあります。細かな基準は改正で動くため、一次情報・税理士で確認してください。


事業者がやること——「控除を使える物件」に仕上げる実務

買取再販住宅の控除は、事業者の段取りで"使える/使えない"が決まります。実務の勘所は次の4点です。

  1. 改修を控除要件に合わせて設計する:どうせやる工事を、工事費の要件(売買価額の20%以上=上限300万 等)を満たす形に組む。リフォーム原価の積み方で工事費を整理しておく
  2. 販売スピードを2年以内に収める:買取再販住宅の要件は「業者取得から2年以内の再販」。在庫の滞留は、控除要件の面でもリスク
  3. 増改築等工事証明書を手配する:買主の控除には、建築士等が発行する「増改築等工事証明書」が必要。誰に・いつ頼むかを工事段階から決めておく(事後に揃わないと買主が控除を使えない)
  4. 出口で訴求する:省エネ改修で性能を上げれば限度額も大きくなる。再販価格の設計とあわせ、"13年・省エネ対応"を販売の武器にする

買主が使う書類:確定申告では、増改築等工事証明書や住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書などが必要になります。買主がスムーズに申告できるよう、証明書を引渡し時に渡せる状態にしておくと親切です。


流通税(登録免許税0.1%・不動産取得税)も忘れずに

買取再販には、買主の所得税の控除(本記事)とは別に、流通税の特例もあります。

  • 買主の登録免許税:要件を満たす買取再販住宅の所有権移転登記が税率0.1%(本則2.0%、通常の中古の軽減0.3%よりさらに低い)
  • 事業者の不動産取得税:宅建業者が取得する際の取得税が減額(安心R住宅・瑕疵保険加入時は敷地分も)

これらは適用期限のある時限措置(現行は令和9年3月31日まで)です。要件・税率・期限は税制特例で詳しく整理しています。


まとめ:住宅ローン控除は「出口を強くする設計変数」

買取再販住宅の住宅ローン控除は、買主の負担を軽くして売りやすくするための、事業者がコントロールできる設計変数です。

  • 省エネ性能を満たせば13年(非省エネの「その他の住宅」や通常の中古は原則10年)——改修と2年以内の再販が条件
  • 省エネ性能で限度額が変わる——改修の方向が買主の減税額に直結
  • 耐震の裏づけで築古でも道が開ける——証明書・瑕疵保険の活用
  • 増改築等工事証明書は工事段階から段取りする——事後では間に合わない

なお、この住宅ローン控除(所得税)は、現行制度では令和7年(2025年)12月31日までに居住を開始した場合が対象です(令和8年以降の取扱いは税制改正で決まります)。数字と要件は改正で変わるため、個別の適用判断は、必ず最新の一次情報(国税庁・国土交通省)と、税理士・税務署で確認してください。


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→ あわせて読みたい:税制特例(登録免許税0.1%・不動産取得税)/耐震基準適合証明(旧耐震・築古のローン付け)/瑕疵保険(インスペクションと保険)/省エネ性能ラベル・補助金(省エネ改修で出口を強くする)/リフォーム原価の積み方

よくある質問(FAQ)

Q. 中古住宅でも住宅ローン控除は使えますか?
A. 使えます。通常の中古は控除期間が原則10年です。宅建業者が一定の改修をして2年以内に再販した「買取再販住宅」のうち、省エネ性能のある区分(認定長期優良・低炭素/ZEH水準/省エネ基準)は、新築等と同じ最長13年になります(非省エネの「その他の住宅」は令和6・7年の居住開始で10年)。

Q. 築40年の物件でも対象になりますか?
A. 新耐震基準への適合が前提です。昭和57年1月1日以後の建築なら原則そのまま、それ以前でも耐震基準適合証明書・住宅性能評価・既存住宅売買瑕疵保険のいずれかで「適合」を示せば対象になり得ます。

Q. どんなリフォームでも対象ですか?
A. いいえ。工事の種類と費用の要件(例:工事費が売買価額の20%以上=上限300万円、特定工事の50万円超・100万円超など)があります。詳細な区分は一次情報で確認してください。

Q. 買主が控除を受けるには、何の書類が必要ですか?
A. 建築士等が発行する「増改築等工事証明書」や、金融機関の「年末残高等証明書」などが必要です。工事証明書は後から揃えにくいため、工事段階から手配しておくのが安全です。

Q. いつまでの制度ですか?
A. 本記事の住宅ローン控除(所得税)は、現行制度では令和7年(2025年)12月31日までに居住を開始した場合が対象で、令和8年以降は税制改正で決まります。これとは別に、流通税の特例(登録免許税0.1%・不動産取得税の減額)は、現行で令和9年3月31日までの時限措置です。いずれも必ず最新の一次情報で確認してください。


出典・参考(一次情報・公開資料)

  • 国税庁 タックスアンサー No.1211-2「買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」:国税庁 No.1211-2
  • 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」:国税庁 No.1211-3
  • 国土交通省「買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置」(登録免許税・不動産取得税):国土交通省
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