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買取再販は、「事業者が中古住宅を取得し、リフォームして、個人に再販する」という事業形態です。この形態には、税負担を軽くする特例措置が用意されています。
知らずにいると、二重の損をします。仕入れの利益計算がズレる(本来軽くなる税を多く見込んでしまう)うえに、再販時の訴求材料を逃す(買い手のコストが軽くなる点をアピールできない)からです。
買取再販に関わる税制特例を、実務目線で整理します。
結論を先に: 買取再販には、大きく2つの税制特例があります。①事業者が取得するときの「不動産取得税」の軽減と、②要件を満たした住宅を個人が買うときの「登録免許税」の軽減(建物の移転登記が税率0.1%に)。いずれも、取得後2年以内の再販・一定のリフォーム・耐震基準などの要件があり、適用期限のある時限措置です。税率・要件・期限は改正で変わるため、最新は必ず一次情報(国交省・国税庁・総務省)と税理士で確認してください。
本記事は制度の全体像をやさしく掴むための概要です。個別の適用判断は、必ず専門家・一次情報にあたってください。
なぜ買取再販に特例があるのか
背景にあるのは、国の既存住宅(中古住宅)の流通促進と空き家対策です。中古住宅を買い取り、品質を高めて再び市場に流す買取再販は、この政策方向に合致します。そのため、良質な中古住宅を流通させる事業者と、それを買う個人の双方の負担を軽くする特例が設けられています。
① 不動産取得税の特例(事業者の取得時)
買取再販を目的として、宅地建物取引業者が中古住宅を取得し、一定のリフォームをして取得から2年以内に個人(自己の居住用)に再販する場合、事業者がその住宅(および敷地)を取得した際の不動産取得税が軽減される措置があります。
- 効果:取得時にかかる税が軽くなる=仕入れの諸経費が下がり、利益に直結します
- 注意:適用には、宅建業者であること・取得後2年以内の再販・住宅の質を高める一定の工事などの要件があります。住宅部分と土地で扱いが異なります
この軽減を前提に置けるかどうかで、仕入れの諸経費の見込みが変わります。諸経費の考え方は、こちらで整理しています。
▶ 買取再販の諸経費の計算(取得・売却で積み上がる諸経費)
② 登録免許税の特例(買主=個人の再販時)
要件を満たした買取再販住宅を、個人が自己の居住用に取得する場合、建物の所有権移転登記にかかる登録免許税の税率が0.1%に軽減されます。一般の中古住宅取得時の税率(軽減で0.3%、本則2.0%)と比べても低い水準です。なお、ここでの0.1%・0.3%は、個人が自己居住用に取得し、床面積など一定の要件を満たす場合の税率です(投資用・賃貸用には適用されません)。
- 効果:買い手(個人)の取得時コストが下がる=「この物件は登録免許税が軽い」という再販の訴求・売りやすさにつながります
- 注意:適用には、宅建業者が取得後2年以内に個人へ譲渡していること、一定のリフォーム工事(増改築等・工事費の要件)を行っていること、耐震基準に関する要件などがあります
つまり、この特例は「要件を満たすリフォームをしているか」で適用が決まります。リフォームの内容や、取得から再販までの期間の設計が、特例の可否に直接からみます。
2つの特例の整理
| ① 不動産取得税の特例 | ② 登録免許税の特例 | |
|---|---|---|
| 誰の税が軽くなるか | 事業者(取得時) | 買主=個人(再販時の移転登記) |
| 効果 | 仕入れの諸経費が下がる | 買い手の取得コストが下がる→再販の訴求に |
| 主な要件(要確認) | 宅建業者/取得後2年以内に個人へ再販/一定の質向上工事 | 宅建業者が取得後2年以内に個人へ/一定のリフォーム工事/耐震基準 等 |
| 性質 | 時限措置(適用期限あり) | 時限措置(適用期限あり) |
※税率・控除額・要件・適用期限は改正で変わります。上表は全体像の把握用です。
利益計算と再販訴求への活かし方
この特例は、知っているかどうかで実務に差が出ます。
- 仕入れの利益計算に織り込む:①の取得税軽減を前提にできるなら、諸経費を過大に見積もらずに済みます。逆に、要件を満たさない取得では軽減されないため、「要件に該当するか」を仕入れ判断の段階で確認します。利益率への影響は、こちらとあわせて押さえてください。
▶ 買取再販の利益率・粗利の出し方(諸経費・税を含めた本当の粗利)
- 再販の訴求に使う:②の登録免許税軽減は、買い手にとっての実利です。販売時に「登録免許税が軽減される住宅」であることを示せれば、競合物件との差別化材料になります。
- リフォーム設計と要件を結びつける:②は工事要件がからむため、「どうリフォームするか」が特例の可否に影響します。要件を意識した工事設計が、結果的に再販の競争力につながります。
実務での動き方(3ステップ)
- 仕入れ時:要件に該当しそうか(宅建業者である/取得後2年以内の再販見込み/必要な工事の内容)を、仕入れ判断に織り込む
- リフォーム設計時:②の工事要件を満たす仕様にするかを判断する。リフォームの内容が特例の可否を左右します
▶ 買取再販のコスパの良いリフォーム(要件を意識した工事の配分)
- 契約前:個別の適用可否と必要書類を、税理士・税務署に確認する
あわせて押さえる関連論点(いずれも要確認)
- 証明書類:②の登録免許税の軽減などは、リフォーム工事の内容を証する書類(増改築等工事証明書など)の取得が前提になる場合があります
- 買主の不動産取得税:買い手(個人)側にも、築年数・耐震などの要件で不動産取得税が軽減される場合があり、②と同じく再販の訴求材料になり得ます
- 土地の扱い:登記の軽減は建物が中心で、土地の移転登記や土地の取得税は別枠です。なお、土地の不動産取得税の軽減には、対象住宅が安心R住宅であることや、既存住宅売買瑕疵保険への加入などが要件になる場合があります(→既存住宅状況調査・瑕疵保険・安心R住宅と買取再販)
いずれも要件・金額が個別に決まるため、適用の可否は税理士に確認してください。
注意:時限措置で、要件は変わる
最も大切な注意点です。これらの特例は、租税特別措置などの時限的な制度であり、適用期限の延長や要件の見直しが改正のたびに行われます。
- 本記事の内容は、制度の全体像を示すものです
- 具体的な税率・控除額・要件・適用期限・対象期間は、必ず最新の一次情報(国土交通省・国税庁・総務省)と、税理士・税務署で確認してください
- 参考までに、これらの特例の適用期限は、2026年6月時点では令和9年(2027年)3月31日までとされています(延長・要件変更があり得るため、必ず最新を確認してください)。買取再販に効く制度変更の時系列は、法改正・制度カレンダーにまとめています
- 適用の可否は個別事情で変わります。仕入れ判断の段階で、税理士に確認する体制を持っておくと安全です
まとめ:特例を「利益」と「売り」の両方に活かす
- 買取再販には、①事業者の不動産取得税の軽減と、②買主の登録免許税の軽減(0.1%)という特例がある
- ①は仕入れの諸経費に、②は再販の訴求に活かせる
- いずれも取得後2年以内の再販・一定のリフォーム・耐震基準などの要件があり、時限措置
- 税率・要件・期限は改正で変わる。最新は一次情報と税理士で必ず確認
税制特例は、買取再販という事業形態だからこそ使えるものです。要件を理解し、仕入れと再販の両面で活かせると、同じ物件でも利益と売りやすさが変わります。
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関連記事もどうぞ。
- ▶ 買取再販の諸経費の計算(税・諸経費の内訳)
- ▶ 買取再販の仕入れ価格はこう判断する(仕入れ判断の手順)
よくある質問(FAQ)
Q. 買取再販に使える税金の特例はありますか?
A. 主に2つあります。事業者が取得するときの不動産取得税の軽減と、要件を満たした住宅を個人が買うときの登録免許税の軽減(建物の移転登記が税率0.1%)です。いずれも要件と適用期限があります。
Q. 登録免許税はどれくらい軽くなりますか?
A. 要件を満たす買取再販住宅を個人が自己居住用に取得する場合、建物の所有権移転登記の税率が0.1%に軽減されます。一般の中古住宅取得時(軽減で0.3%)より低い水準です。ただし税率・要件は改正で変わるため、最新を確認してください。
Q. 事業者が取得するときの不動産取得税も軽くなりますか?
A. 買取再販を目的として宅建業者が中古住宅を取得し、一定のリフォームをして2年以内に個人へ再販する場合などに、不動産取得税の軽減措置があります。住宅部分と土地で扱いが異なり、要件があります。
Q. 特例の要件は何ですか?
A. 一般に、宅建業者であること・取得後2年以内の再販・一定のリフォーム工事・耐震基準などが関わります。これらは時限措置で、要件・期限が改正で変わるため、最新の一次情報と税理士で確認してください。
Q. いつ確認すればよいですか?
A. 仕入れ判断の段階です。特例の要件に該当するかで、仕入れの諸経費とリフォーム設計が変わるためです。
出典・参考(一次情報)
本記事で扱った制度の一次情報です。要件・税率・期限などは改正で変わるため、最新は各サイトでご確認ください。