買取再販の保有コストはいくらかかる?固都税・金利・管理費の計算と、粗利を守る考え方
仕入れ価格と再販価格、リフォーム費用。この3つは誰でも気にします。でも、机上では出ていたはずの粗利を静かに溶かしていくのが「保有コスト」です。
物件を買ってから売るまでの間、毎月のように出ていくお金。これを甘く見積もると、「売れたのに思ったより残らなかった」が起きます。この記事では、買取再販の保有コストの中身と計算のしかた、そして販売期間との関係を、実務目線で整理します。
結論を先に: 保有コストは「固都税+借入金利+管理費・修繕積立金+火災保険+維持費」を、想定保有期間(月数)で掛けて見積もります。販売が長引くほど膨らむため、仕入れ判断の段階で最初から織り込むのが鉄則です。
なぜ「保有コスト」が、粗利を決めるのか
買取再販の粗利は、次の引き算で決まります。
再販価格 −(仕入れ価格 + リフォーム費用 + 保有コスト + 諸経費)= 粗利
この中で保有コストだけが、「時間」に比例して増えるという特徴を持っています。仕入れ価格もリフォーム費用も、買った時点・工事した時点で金額が確定します。でも保有コストは、売れるまで毎月かかり続ける。
つまり、同じ利益が乗る物件でも、1ヶ月で売れるか、半年売れ残るかで、最終的な手残りがまるで変わる。保有コストは「販売期間 × 月額コスト」で効いてくる、時間と掛け算の費用なのです。
保有コストの中身——5つの費目
保有コストとして見積もるべき主な費目は、次の5つです。
① 固定資産税・都市計画税(固都税)
土地・建物の所有者にかかる税金です。税法上の納税義務者は1月1日時点の所有者で、1年分が課税されます。実務では売買契約の特約として引渡日を基準に日割り精算するのが通例ですが、起算日(1月1日か4月1日か)や精算の有無は契約条件次第です(地域慣習で異なります)。保有が年をまたぐ場合は、その分の負担も見込みます。
おおまかな目安(標準・概算)として、
- 固定資産税:課税標準額 × 1.4%(標準税率)
- 都市計画税:課税標準額 × 最大0.3%(制限税率/市街化区域)
※税率は自治体によって異なる場合があり、住宅用地には課税標準の特例(負担が軽くなる)もあります。正確な額は固定資産税の課税明細や評価額で確認してください。
② 借入金利
仕入れを借入で行う場合、残債 × 年利 ×(保有月数 ÷ 12) が利息として出ていきます(金利は年率なので、月数はそのまま掛けず12で割ります)。ここが、販売の長期化でいちばん効いてくる費目です。金利が高い、または保有が長引きやすい会社ほど、後述する安全マージンを厚めに取る必要があります。
③ 管理費・修繕積立金(区分マンションの場合)
区分マンションを保有している間は、毎月の管理費・修繕積立金がかかります。物件によっては月数万円規模になり、保有が長引けば積み上がります。
④ 火災保険・地震保険
保有期間に応じた保険料です。短期保有でも、加入していれば費用として発生します。
⑤ その他の維持費
空室の光熱基本料、清掃・点検、(戸建て・土地なら)草刈りや管理など。金額は小さく見えても、保有が長引くほど積み上がります。
保有コストの計算手順(架空の記入例)
実際の流れを、使い方を示すための架空例で追います(金額は一例です)。
- 想定保有期間を置く:仕入れ→リフォーム→販売→引渡までを、例)6ヶ月と想定
- 月額で出る費目を合計:管理費・修繕積立金 2万円+火災保険 0.5万円+維持費 0.5万円 = 月3万円
- 借入金利を計算:残債3,500万円 × 金利2.5% × 6/12ヶ月 = 約43.75万円
- 固都税を期間按分:年額12万円 × 6/12ヶ月 = 6万円
- 合計:(月3万円 × 6ヶ月)+ 43.75万円 + 6万円 = 約67.75万円
この「約68万円」を、仕入れ判断の粗利計算にあらかじめ差し引いておく——これが、保有コストを織り込むということです。
重要なのは、想定保有期間が延びると、この数字がそのまま膨らむこと。たとえば6ヶ月が12ヶ月に延びれば、金利と月額費用はほぼ倍になります。
「販売期間」をどう見積もるか——保有コストの精度はここで決まる
保有コストの計算で一番のカギは、想定保有期間(=売れるまでの期間)をどう置くかです。ここがずれると、計算全体がずれます。
精度を上げるには、近隣の類似物件が平均どれくらいの期間で売れているかを見ます。
- 売れ行きの良いエリア・物件タイプなら、保有期間を短めに
- 売れ残りやすいなら、保有期間を長めに見て、安全マージンを乗せる
ここで効いてくるのが、近隣の売出し相場と「販売期間」のデータです。「いくらで・どれくらいの期間で売れていきそうか」が読めて初めて、保有コストの見積もりにも根拠が持てます。
販売期間のデータ収集を手作業でやると手間がかかります。最近は、こうした相場・販売期間の把握を支援する買取再販向けツールもありますが、まずは手元で「保有コストを織り込んだ判断」の型を作るのが先決です。
まとめ:保有コストは「時間との掛け算」
- 保有コストは「固都税+金利+管理費・修繕積立金+火災保険+維持費」
- 計算は「月額コスト × 保有月数 + 金利 + 固都税の期間按分」
- 販売が長引くほど膨らむため、仕入れ判断の段階で最初から差し引く
- 想定保有期間の精度が、保有コストの精度を決める。近隣の販売期間データを根拠にする
※本記事は保有中のランニングコストに絞っています。売却益にかかる税(法人なら法人所得に合算、個人は譲渡所得税で短期保有は重課)は別途試算が必要です。また固都税・管理費等は取得時に売主へ精算金を支払い、売却時に買主から受け取るのが通例で、上の計算は保有期間に帰属するコストの概算です。
保有コストを「なんとなく一律◯万円」で済ませている会社は少なくありません。でも、ここを物件ごとに見積もれるようになると、粗利の読みが一段と正確になります。
物件情報とコストを入力すると、保有コストも含めて粗利率・GO/STOPの目安を計算できるExcelシートを無料配布しています。
仕入れ判断の全体像は、こちらで解説しています。
▶ 買取再販の仕入れ価格はこう判断する
よくある質問(FAQ)
Q. 買取再販の保有コストには何が含まれますか?
A. 固定資産税・都市計画税(固都税)、借入金利、管理費・修繕積立金、火災保険、維持費などです。保有している間ずっと発生します。
Q. 保有コストはどう計算しますか?
A. 「月額で出る費目 × 保有月数 + 借入金利(残債 × 年利 × 保有月数÷12)+ 固都税の期間按分」で概算します。販売が長引くほど膨らみます。
Q. 固都税の税率はどれくらいですか?
A. 固定資産税は標準税率1.4%、都市計画税は制限税率0.3%(市街化区域)が目安です。ただし自治体差や住宅用地の特例があるため、正確な額は課税明細・評価額で確認してください。