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先に結論: 住宅の流通量に占める中古(既存住宅)の割合は、国土交通省の公表値で日本が約14.5%。これに対しアメリカ81.0%・イギリス85.9%・フランス69.8%と、日本は欧米の約5分の1にとどまります(日本は2018年値、各国で統計の取り方は異なる)。裏を返せば、「中古が当たり前の選択肢」になる余地が大きい——買取再販は、中古住宅の質を高めて流通に乗せる担い手として、構造的な追い風の中にあります。ただし正直に言えば、「伸びしろ=すぐ儲かる」ではありません。シェアが埋まるには政策・金融・消費者意識の変化が要り、市場の追い風と、個社が勝てるかは別問題。この記事は、その根拠と限界を事業者目線で整理します。
「買取再販は伸びる市場」とよく言われます。その根拠として最もよく引かれるのが、中古住宅の流通シェアの国際比較です。この記事では、まず数字で"伸びしろ"の実態を確認し、そのうえでそれが買取再販にとって何を意味し、何を意味しないのかを、誇張せずに検討します。
※本記事の数値は国土交通省の公表資料にもとづきます。各国で統計の定義・取り方が異なるため、水準感の比較としてご覧ください。
データ:日本の中古流通シェアは約14.5%、欧米は7〜9割
国土交通省の「住宅経済関連データ(既存住宅流通シェアの国際比較)」によると、住宅流通量に占める既存住宅(中古)の割合は次のとおりです。
| 国 | 中古(既存住宅)の流通シェア |
|---|---|
| 日本 | 約14.5% |
| フランス | 約69.8% |
| アメリカ | 約81.0% |
| イギリス | 約85.9% |
(出典:国土交通省「住宅経済関連データ」既存住宅流通シェアの国際比較。日本は2018年値、米英仏も同時期の公表値。各国で統計の取り方が異なる)
欧米では、住宅取引の7〜9割が中古です。一方、日本は約14.5%——新築偏重が長く続いてきました。この差は、日本の中古市場には"当たり前になる"だけの伸びしろが残っていることを示しています。可視化したグラフは 流通シェア国際比較 のデータページにも掲載しています。
なぜ日本の中古流通シェアは低いのか——新築偏重の背景
欧米で7〜9割の中古が、日本では約14.5%にとどまる背景には、いくつかの構造があります(いずれも「要因の一つ」としての整理で、断定ではありません)。
- 中古の"質"が見えにくかった:建物の状態や性能が可視化されてこなかったため、買い手が中古に不安を持ちやすい構造がありました。インスペクション(建物状況調査)や性能表示の普及は、まだ途上です(→ インスペクションと瑕疵保険)。
- 新築を後押しする流れが長く続いた:住宅政策・住宅ローン・税制が、歴史的に新築取得を強く後押ししてきた面があります。
- 建物が"短命"に扱われてきた:日本では築年数が経つと建物価値がゼロに近づく査定慣行が根強く、中古が資産として評価されにくかった。これは築古で㎡単価が大きく下がる実態(→ 築年ディスカウントとリノベ妙味)とも結びついています。
裏を返せば、中古の状態が可視化され、中古への融資が整い、質の高い中古が供給されれば、シェアが上がる余地があるということ。買取再販は、まさに「質の高い中古を供給する」側に立っています。
なぜ買取再販にとって「構造的な追い風」なのか
中古流通が増える方向にあることは、買取再販にとって次の意味を持ちます。
- 中古が"当たり前の選択肢"になるほど、買取再販の出口(実需の買い手)が広がる。新築価格の高騰が続くなか、割安な中古+リノベへの需要は高まりやすい(市場全体の拡大基調は 上場買取再販企業のIR分析 の各社IRにも表れています)。
- 「安心して買える中古」を供給する担い手として、買取再販の役割が大きくなる。リフォーム済み・状態が可視化された中古は、一般の個人が中古を選ぶハードルを下げます(→ インスペクションと瑕疵保険)。
- 仕入れ源も増加基調。空き家・相続物件の増加は、中古流通の"元栓"が太くなることを意味します(→ 空き家と相続の増加)。
つまり、「中古が増える × 中古を安心して買える形にする」という買取再販の事業は、市場の構造変化と方向が一致しています。
【考察】ただし「伸びしろ=すぐ儲かる」ではない(正直な限界)
ここは誇張しがちな論点なので、正直に書きます。
- シェアはすぐには埋まらない。 14.5%が欧米並みになるには、税制・金融(中古への融資)・インスペクションや保証の普及・消費者意識といった、いくつもの条件が変わる必要があります。追い風は「向き」の話であって、「速さ」を保証するものではありません。
- 市場の追い風と、個社が勝てるかは別問題。 市場が伸びても、仕入れを間違えれば赤字です。追い風に乗れるのは、出口から逆算した仕入れ・回転・資金管理ができる事業者だけ(→ 仕入れ価格はこう判断する/利益率・粗利の出し方)。「市場が伸びるから買う」は、よくある失敗事例 の入口です。
- 統計の比較には幅がある。 各国で「流通」の定義や集計方法が異なるため、14.5%対81%という数字は"水準感"として捉えるべきで、精密な比較ではありません。
つまり、構造的追い風は"参入・継続の後押し"にはなるが、"個別案件の勝ちを保証しない"。この線を守るのが、数字に踊らされない読み方です。
まとめ
- 住宅流通に占める中古の割合は、日本約14.5%に対し欧米は約7〜9割(国交省)。日本は欧米の約5分の1。
- 中古が"当たり前"になる余地が大きく、買取再販は「中古を安心して買える形にする」担い手として構造的な追い風にある。
- ただし「伸びしろ=すぐ儲かる」ではない。シェアが埋まるには時間と条件が要り、市場の追い風と個社の勝ち負けは別。
- 追い風に乗れるのは、出口逆算の仕入れ・回転・資金管理を徹底する事業者。
「日本の中古はまだ欧米の5分の1」という事実は、買取再販という事業の"背中を押す"根拠です。ただしそれは、正しく仕入れて売り切る力があって初めて意味を持ちます。市場の追い風を、足元の判断の精度に変えていきましょう。
伸びる市場でも、勝敗は1件ごとの仕入れ判断で決まります。再販価格・コスト・自社基準から粗利を試算できる 仕入れ可否判定シートほか実務Excel7点セットを無料ダウンロード。
よくある質問(FAQ)
Q. 日本の中古住宅の流通シェアはどのくらいですか?
A. 国土交通省の公表値では、住宅流通に占める既存住宅(中古)の割合は日本が約14.5%(2018年値)です。アメリカ81.0%、イギリス85.9%、フランス69.8%と、日本は欧米の約5分の1の水準にとどまっています(各国で統計の取り方が異なるため水準感の比較です)。
Q. 中古流通シェアが低いと、買取再販は伸びるのですか?
A. 構造的な追い風にはなります。中古が「当たり前の選択肢」になる余地が大きく、リフォーム済みで安心して買える中古を供給する買取再販の役割が高まりやすいためです。ただしシェアが埋まるには時間と条件(金融・税制・意識の変化)が必要で、すぐに儲かることを保証するものではありません。
Q. 市場が伸びるなら、参入すれば勝てますか?
A. 市場の追い風と、個社が勝てるかは別問題です。市場が拡大しても、仕入れを間違えれば赤字になります。追い風に乗れるのは、出口から逆算した仕入れ・保有期間の短縮(回転)・資金管理を徹底できる事業者です。
出典・参考
- 国土交通省「住宅経済関連データ」 — 既存住宅流通シェアの国際比較(日本・米・英・仏)ほか住宅関連の公表データ。本記事の数値の一次情報。
- グラフは当サイトの 流通シェア国際比較 データページに掲載。市場と各社の位置づけは 上場買取再販企業のIR分析、仕入れ源の量は 空き家と相続の増加 もあわせてどうぞ。
各国で住宅流通統計の定義・集計方法は異なり、数値は水準感の比較です。公表値は時点により更新されます。市場の追い風は個別案件の収益を保証するものではありません。最新・正確な数値は出典元でご確認ください。
