買取再販は、仕入れてから売れるまでの「保有期間」に、金利・固定資産税などのコストが静かに積み上がります。なかでも金利負担は、2026年に入って無視できない大きさになりました。
日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度(約31年ぶりの水準)へ引き上げ、住宅ローンのフラット35(最低金利)も2026年6月に3.21%まで上昇しています(いずれも後述の出典)。仕入れ資金を借入で調達する買取再販にとって、これは保有コストの上昇=粗利の圧迫を意味します。
この記事では、「金利が上がると、保有コストは実際いくら増えるのか」を、仕入れ価格帯・保有月数・金利水準の組み合わせで試算した独自シミュレーションで具体化します。
先に結論: 金利負担は「仕入れ価格 × 金利 × 保有月数」でほぼ決まります。価格が高く・保有が長く・金利が高いほど、負担は掛け算で膨らみます。金利が1%上がるだけで、5,000万円の物件を12か月持つと約50万円が粗利から余分に消えます。だからこそ2026年は「何日で売り切るか(回転)」の重要度が一段上がっています。
※本記事の試算は、わかりやすさのため「借入元本は一定・単利」で単純化した当サイトの計算例です。実際は融資条件・返済方式・自己資金比率で変わります。金額を鵜呑みにせず、自社の条件で再計算してください。
試算①:保有中の金利負担はいくらか
仕入れ価格を全額借入で調達したと仮定し、金利負担 = 仕入れ価格 × 年利 ×(保有月数 ÷ 12) で計算した金額です(単位:万円)。
| 仕入れ価格 \ 保有・金利 | 6か月・2% | 6か月・3% | 6か月・4% | 12か月・2% | 12か月・3% | 12か月・4% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1,500万円 | 15.0 | 22.5 | 30.0 | 30.0 | 45.0 | 60.0 |
| 3,000万円 | 30.0 | 45.0 | 60.0 | 60.0 | 90.0 | 120.0 |
| 5,000万円 | 50.0 | 75.0 | 100.0 | 100.0 | 150.0 | 200.0 |
たとえば3,000万円の物件を金利3%・6か月保有すると、金利だけで45万円。これが12か月に延びれば90万円です。保有が延びるほど負担は比例して増えます。
試算②:金利が「1%」上がると、いくら増えるか
いま最も知りたいのは「金利上昇の影響額」でしょう。金利+1%あたりの追加負担 = 仕入れ価格 × 1% ×(保有月数 ÷ 12) です(単位:万円)。
| 仕入れ価格 \ 保有月数 | 3か月 | 6か月 | 12か月 |
|---|---|---|---|
| 1,500万円 | 3.8 | 7.5 | 15.0 |
| 3,000万円 | 7.5 | 15.0 | 30.0 |
| 5,000万円 | 12.5 | 25.0 | 50.0 |
金利が1%上がるだけで、5,000万円を12か月保有すれば約50万円が粗利から消える計算です。仕入れ判断のときに「金利は前提コスト」として織り込んでいないと、この差がそのまま利益のブレになります。
この試算から読める「仕入れ判断」への3つの含意
- 高価格帯ほど金利に弱い。 同じ金利上昇でも、5,000万円帯は1,500万円帯の3倍以上の負担増。都市部の高単価物件を扱うほど、保有期間の管理がシビアになります。
- 保有日数がそのまま金額。 6か月→12か月で負担は倍。「いくらで売るか」だけでなく「何日で売り切るか」の上限ルールを持つことが、金利上昇局面では効きます(例:保有90日を超えたら価格を見直す)。詳しくは在庫回転・保有コストを参照。
- 仕入れ値の規律がより重要に。 かつては保有中に相場が上がり、金利負担を吸収できる局面もありました。しかし相場が頭打ちになると、金利負担は"取り戻せないコスト"になります。出口価格は保守的に、仕入れ上限は金利込みで設計しましょう。金利局面の考え方は金利上昇で詳しく解説しています。
自社の条件で粗利を試算できるExcelを配布中
金利・保有月数・リフォーム費用・諸経費を自社の数字で入れて、粗利率とGO/STOPの目安を出せる「仕入れ可否判定シート(Excel)」を無料で配布しています。金利を前提コストとして織り込んだ仕入れ判断に、そのまま使えます。
よくある質問(FAQ)
Q. 金利が1%上がると、買取再販の利益はどれくらい減りますか?
A. 「仕入れ価格 × 1% ×(保有月数÷12)」が目安です。たとえば3,000万円の物件を6か月保有するなら約15万円、5,000万円を12か月なら約50万円が、金利上昇分として粗利から余分に引かれる計算です(借入元本一定・単利で単純化した試算)。
Q. この試算はどんな前提で計算していますか?
A. わかりやすさのため「仕入れ価格の全額を借入で調達し、元本は一定、単利」で単純化した当サイトの計算例です。実際は自己資金比率・融資金利・返済方式・固都税などで変わるため、自社の条件での再計算が前提です。
Q. 2026年の金利はどの程度上がっていますか?
A. 日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%程度(約31年ぶりの水準)へ引き上げ、フラット35(最低金利)も2026年6月に3.21%へ上昇しました。事業者向けの仕入れ融資金利は各社・各案件で異なりますが、方向としては上昇局面です。
出典・参考(一次情報)
- 政策金利:日本銀行 金融政策
- 住宅ローン金利(フラット35):住宅金融支援機構 フラット35 金利情報
本記事の試算表はいずれも当サイトが独自に作成した計算例です(借入元本一定・単利で単純化)。金利水準は上記の公表値を引用していますが、実際の負担は融資条件・返済方式等で異なります。投資・融資の判断は、各金融機関・専門家にご確認ください。
