先に結論: 首都圏の中古マンション成約㎡単価は、2020年の約54.9万円/㎡から2024年の約76.9万円/㎡へ、5年で約1.4倍(+約40%)に上がりました(東日本レインズ)。買取再販にとってこれは両刃です——出口(再販価格)は取りやすい一方で、仕入れ値も同じように上がり、1件あたりの総額・必要資金・金利負担が膨らみます。単価が上がるほど、「粗利率(%)を死守する」ことと「回転で稼ぐ」ことの重要度が増します。上昇に乗って強気に仕入れると、高値掴みで粗利率が薄くなる——だからこそ、出口から逆算した上限を守るのが、上昇局面の生命線です。
「中古が上がっている」という実感を、まず数字で確認しましょう。そのうえで、単価上昇が買取再販の粗利・与信・回転にどう効くかを、公表値と透明な試算で整理します。相場が2026年に転換した局面の話は 中古相場の転換点2026、金利の影響は 金利で出口購買力はどれだけ縮むか と 金利と在庫回転の資金効率 をどうぞ。
※本記事の相場は東日本レインズの公表値、試算部分は前提を置いた例示です。単価の上昇が今後も続くことを保証するものではありません。
データ:首都圏中古マンション㎡単価は12年連続で上昇
東日本レインズの公表値では、首都圏の中古マンション成約㎡単価は次のように推移しました。
| 年 | 成約㎡単価 | 前年比の傾向 |
|---|---|---|
| 2020年 | 約54.90万円/㎡ | — |
| 2021年 | 約59.92万円/㎡ | 上昇 |
| 2022年 | 約67.28万円/㎡ | 上昇 |
| 2023年 | 約71.92万円/㎡ | 上昇 |
| 2024年 | 約76.88万円/㎡ | 上昇(12年連続) |
(出典:東日本不動産流通機構〈東日本レインズ〉の首都圏中古マンション成約㎡単価。当サイト 中古マンション相場データ にも掲載)
2020年54.90万円 → 2024年76.88万円は、5年で約1.40倍(+約40%)。2024年は平均専有面積63.60㎡・平均築年数24.53年で、平均成約価格は約4,890万円でした。中古は「築古・リノベ前提でも高値」という時代に入っています。
単価上昇は買取再販に「両刃」——3つの効き方
単価が上がることは、買取再販にとって良い面と悪い面の両方があります。
① 出口は取りやすいが、仕入れ値も上がる
再販価格(出口)が上がるのは追い風ですが、仕入れ値も同じ市場で上がっています。問題は、仕入れ競争が激しいと、仕入れ値が出口以上に上がり、粗利率が薄くなること。「相場が上がっているから」と強気に買うと、上昇が止まった瞬間に高値掴みになります(→ よくある失敗事例)。
② 1件あたりの総額・必要資金が膨らむ
㎡単価が上がると、同じ広さでも物件の総額が上がります。例えば専有面積63.6㎡の物件なら、出口価格は概算で——
| 単価水準 | 出口価格の目安(63.6㎡) | 粗利率15%なら粗利 |
|---|---|---|
| 2020年 54.90万円/㎡ | 約3,490万円 | 約524万円 |
| 2024年 76.88万円/㎡ | 約4,890万円 | 約733万円 |
(単価×63.6㎡で算出。粗利は出口×15%の例示)
粗利の絶対額は増える(524万→733万円)一方で、1件に必要な仕入れ資金・与信枠も約1.4倍に膨らみます。与信枠が固定なら、同時に持てる在庫が減り、回転が落ちる——ここが見落とされがちな効き方です。【例示】 総額が1.4倍になると、同じ与信枠で同時に持てる在庫は 1÷1.4≒0.71倍(約3割減)。2020年の単価水準で10件持てた与信枠でも、2024年水準では約7件に減る計算です(前提を置いた例示。実際は物件総額・掛目・借入条件で変わります)(→ 資金調達と融資/在庫回転率とKPI管理)。
③ 金利負担も総額に比例して増える
借入額が1.4倍になれば、保有中の金利負担も1.4倍に。単価上昇 × 金利上昇が重なると、資金効率はさらに圧迫されます(→ 金利と在庫回転の資金効率)。
【考察】上昇局面で粗利を守る3つの構え
以上を踏まえた当サイトの見解です。
- 粗利率(%)を死守する。 単価が上がると粗利の絶対額は増えますが、それに慣れて粗利率を緩めると、上昇が止まったとき一気に苦しくなります。出口から逆算した仕入れ上限を、%ベースで固定するのが基本(→ 再販価格の決め方/利益率・粗利の出し方)。
- 回転で資金効率を確保する。 1件の総額が上がるほど、同じ与信枠で回せる件数が減るため、保有期間の短縮=回転の価値が上がります。上昇局面ほど「早く売る」が効く構造です(→ 金利と在庫回転の資金効率)。
- 上昇の継続を前提にしない。 単価は12年上がりましたが、2026年には局面が変化しています(→ 中古相場の転換点2026)。「上がり続ける」前提の強気仕入れは危険。上昇が鈍る・下がる前提でも粗利が残る上限で買う。
まとめ
- 首都圏中古マンション㎡単価は2020年54.9万→2024年76.9万(5年で約1.4倍・12年連続上昇)。
- 単価上昇は両刃:出口は取りやすいが、仕入れ値・1件の総額・必要資金・金利負担も膨らむ。
- 与信枠が固定なら総額上昇で回転が落ちる——単価上昇局面ほど粗利率の死守と回転が効く。
- 上昇の継続を前提にせず、出口逆算の上限を守るのが高値掴みを防ぐ生命線。
「相場が上がっている」は、買取再販にとってチャンスであると同時にリスクです。数字で水準を押さえ、粗利率と回転という守りを固めておくことが、局面が変わっても生き残る土台になります。
出口から逆算した仕入れ上限は、仕入れ可否判定シートほか実務Excel7点セットを無料ダウンロードで自社の数値に置き換えて試算できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 中古マンションの単価はどのくらい上がっているのですか?
A. 東日本レインズの公表値では、首都圏の中古マンション成約㎡単価は2020年の約54.9万円/㎡から2024年の約76.9万円/㎡へ、5年で約1.4倍(+約40%)に上昇し、12年連続の上昇となっています。2024年の平均成約価格は約4,890万円です。
Q. 単価が上がると買取再販は儲けやすくなりますか?
A. 一概には言えません。出口(再販価格)は取りやすくなりますが、仕入れ値も同じ市場で上がり、1件あたりの必要資金や金利負担も膨らみます。仕入れ競争で仕入れ値が出口以上に上がると粗利率はむしろ薄くなり、上昇が止まれば高値掴みのリスクもあります。
Q. 上昇局面で粗利を守るには?
A. 粗利率(%)を出口から逆算して固定し、絶対額の増加に慣れて基準を緩めないことです。1件の総額が上がると与信枠あたりの回転が落ちるため、保有期間の短縮=回転も重要になります。上昇の継続を前提にせず、鈍化・下落局面でも粗利が残る上限で仕入れます。
出典・参考
- 首都圏中古マンションの成約㎡単価(2020〜2024年):東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の公表値。当サイトの 中古マンション相場データ に数値と出典を掲載しています。
- 相場の直近の局面変化は 中古相場の転換点2026、粗利率の考え方は 利益率・粗利の出し方、資金効率は 金利と在庫回転の資金効率 を参照してください。
本記事の相場は公表時点の数値、試算部分(出口価格・粗利の例示)は前提を置いた試算です。単価の上昇が今後も続くことや、特定の収益を保証するものではありません。専有面積・粗利率・与信条件は物件と会社で変わります。個別の判断は専門家にご確認ください。
